プッシュ型とプル型|マーケティング用語

企業が顧客にアプローチするマーケティング活動には、「プッシュ型」と「プル型」があります。

「プッシュ型」とは、企業が特定の見込み顧客に直接的にアプローチする方法です。 一方の「プル型」とは、企業が市場(不特定多数の見込み顧客群)にアプローチして顧客のほうから企業に接触してくれるのを待つ方法です。「能動的」と「受動的」の違いだとも言えます。

お客さまを「魚」に例えるのは本当に失礼な話ではありますが、あくまでも例え話として聞いてください。

水中に潜り、銛(もり)で狙った魚を仕留めるのが「プッシュ型」。 船の上から餌をまき、釣り糸を垂らして魚が食いつくのを待つ、あるいは魚が網にかかるのを待つのが「プル型」です。

そのプッシュ型とプル型のマーケティング活動において、どのようなターゲットにどのような施策を打つのかを深く考えていくのが「プッシュ戦略」と「プル戦略」です。

「プッシュ戦略」と「プル戦略」は、それぞれに独立して考えることもあれば、お互いを連携させて総合的に練り上げることもあるでしょう。そして、その戦略の下で実施する具体的な施策には「プッシュ型」と「プル型」のそれぞれで次のような候補があります。

● プッシュ型

プッシュ型の施策には、次のようなものがあります。

・商談会での営業
・訪問営業
・電話営業
・キャッチセールス
・ダイレクトメール
・企業ホームページの問い合わせフォームからの連絡

見ていただくとおわかりだと思いますが、プッシュ型の手法は、やり方を間違えると顧客に敬遠される可能性がありますし、企業のイメージダウンに繋がるリスクがあります。そして、その役割を担うスタッフには精神的な負担がかかることもありますので、いろんな面での注意が必要です。

ただし、本当にその商品やサービスを必要とする顧客にアプローチできる場合には、効率的で有用な手段であることも間違いありません。例えば、テレビの電波が届きにくい難視聴地域というものがありますが、その難視聴地域の住宅を訪問し、ケーブルテレビの利用を案内して回るという場合などです。

つまり、プッシュ型のマーケティング活動・営業活動では、本当にその商品・サービスを必要としている見込み顧客にアプローチできるかどうかが成功の鍵となります。

● プル型

一方のプル型として、次のような施策が挙げられます。

・店舗の出店
・展示会への出展
・各種広告(テレビ広告/ラジオ広告/新聞広告/折り込みチラシ/交通広告/ポスティング/ネット広告など)
・企業ホームページの運営
・SNSの企業アカウントの運営
・企業紹介サイト(一括見積など)への参加

プル型の場合も、プッシュ型と同様に見込み顧客がどのあたりに潜んでいるのかを見定めることはとても重要です。そういう意味では、マーケティングリサーチが魚群探知機のような役割を担います。

再び、お客さまを「魚」に見立ててお話するのは恐縮ではありますが、説明としてはわかりやすいと思いますので、お許しください。

魚群探知機で、魚の群れの近くに漁船がやってきたとします。その漁船がやらないといけないことは、魚が好む餌をまくことですが、どんな種類の餌をまくのか、そして、どのくらいの量の餌をまくのかを間違えてしまっては魚が寄ってきません。

企業のマーケティング活動(プル型)も同じです。餌の種類は、広告の内容(訴求内容やキャッチコピーなど)です。そして、餌の量とは、広告の出稿量です。顧客に魅力的な訴求になっていなければ、顧客は振り向いてくれませんし、出稿量が少なければ顧客に届きません。

そして、適切な餌で魚が寄ってきたときに、魚を釣り上げる竿(さお)が折れたり糸が切れたり、網が破れてしまっては、魚を捕獲することはできません。

企業のマーケティング活動も同じで、せっかくの広告活動で寄ってきた顧客が、企業のホームページを見て「やっぱりやめておこう」と思ったり、注文しようと電話を架けたらビジーで繋がらなかったりすれば、顧客を獲得することはできません。広告出稿とともに、それを受注に結ぶつけるプロセスに穴がないのかのチェックが必要です。


どのような層に、どのような手法(プッシュ型なのかプル型なのか)で見込み顧客にアプローチをして、最終的に顧客になっていただくのか。貴社で活用されるマーケティング施策が貴社の商品・サービスに相応しい内容となっているのか、また、その過程のどこかに問題がないのかをチェックする必要はございませんか?