プロダクトアウトとマーケットインに優劣はあるの?

● 「プロダクトアウト」と「マーケットイン」

マーケティングに関わる人であれば、間違いなく「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

プロダクトアウトとは、「その企業が独自に持つ技術」や「仕入れた技術」を用いて企業の意思や判断(時には思い入れ)で商品を企画開発することです。「面白い商品」「独創的な商品」と言われるものには、プロダクトアウト的な商品が多いのではないでしょうか。

一方のマーケットインとは、見込み顧客のニーズを汲みとって商品を企画開発することです。定性調査や定量調査を重ねることで、消費者や顧客企業のニーズをあぶりだし、その解決策を提供しようとするアプローチです。

現代の日本は、モノ不足の時代のようにモノを作れば売れる時代ではない。だからこそ、マーケットインが大切で、プロダクトアウトは駄目だ・・・という論調を目にすることがあります。そして、自分達は「プロダクトアウト」ではなく、「マーケットイン」を目指すのだ・・・と考える人達がいます。しかし、そこには、「プロダクトアウト」に対する大きな誤解が潜んでいます。

日本の製造業がうまくいかなくなった理由は、決してプロダクトアウト的な発想に凝り固まったからではありません。差別化要素の欠片もない古い技術に依存して、単なる「過剰機能」「無駄な機能」を延々と積み上げていったことがその原因です。その代表例が、テレビやビデオの誰も使わない複雑な機能。辞書のように分厚い取扱説明書・・・です。

しかし、誰もが驚くような新たな技術を生み出して製品化すれば、プロダクトアウトであっても全く違うことが起こったはずです。

また、「マーケットイン」を「顧客第一主義」の類義語のように理解している人がいるかもしれませんが、それは違います。「顧客第一主義」の理念のもと、「プロダクトアウト」的なアプローチで顧客の心を掴み大きな成功に繋がることも有り得ます。

● 「シーズ」と「ニーズ」

シーズ(seeds)とは「種」のことですが、企業活動では独自の技術など、商品の企画開発の素となるものを指します。自社の開発した技術や仕入れた技術などを元に商品を企画開発することを「シーズ志向」「シーズ発想」と言いますが、プロダクトアウトとは「シーズ志向」「シーズ発想」の別の言い方だと捉えることもできます。

一方、ニーズとは、不満を抱える人々の「現状」と「理想」とのギャップのことを指します。そのギャップを汲み取って、適正な価格で解決策・改善策を提供することができれば世の人々に受け入れられることになります。つまり、マーケットインとは、「ニーズ」を起点に市場に製品やサービスを投入すること、という言い方もできるでしょう。

そこで、最も大切なことは「シーズ」も「ニーズ」もどちらも必要であると理解することです。同様に、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」のどちらかが優れているとか劣っているなどと考えてはいけないということです。

プロダクトアウト的に企画開発した商品であっても、消費者や顧客企業のニーズにあわなければ売れることはありません。逆に、いくら消費者や顧客企業にニーズを把握していても、その解決方法(ソリューション)がなければ、顧客に何も提供することはできません。

例えば、青色ダイオードの発明によって、白昼色のLED照明やスマホのバックライトへの応用が実現しました。これは、青色ダイオードという「シーズ」と、消費電力の少ない照明装置を求める「ニーズ」が噛み合ったものです。

もし、青色ダイオードが発明されても使い道がなければ、宝の持ち腐れです。

逆に、家庭の照明器具として、あるいは、スマホのバックライトとして、消費電力の少ない照明装置のニーズがあったとしても、それを満たすシーズがなければ何も始まりません。

「プロダクトアウト」と「マーケットイン」は、「シーズ」と「ニーズ」と同じように対比して説明されることが多いかもしれません。しかし、それを実践する企業にとって、決してどちらか一方を選択するという類のものではなくて、どちらも同じように、そして、どちらも企業の存続に影響を与えるくらいにとても大切なものだと理解することが必要です。

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