Place(流通チャネル)|4P|マーケティング用語

Product(商品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(販売促進)の頭文字である4つの P で「4P」。マーケティング用語としては、古典的な言葉です。

そのうちの1つである Place は流通チャネルや販売チャネルとも呼ばれますが、「顧客」と「商品・サービス」が出会う場所のことです。 ビジネスによって Place(流通チャネル)の重要性が異なったとしても、顧客に商品・サービスを提供する「接点」がなければビジネスが成立しませんし、それだけに Place(流通チャネル)とはビジネスにとって重要なものです。

その Place(流通チャネル)について説明するために、銀行や証券などの「金融サービス」と、食料品を代表して「お米」について考えてみたいと思います。


まずは、銀行や証券などの「金融サービス」について。

インターネットが普及する前は、銀行も証券もサービスを受けるためには店舗のカウンター窓口に出かけるのが当然でした。ただし、上顧客の場合には、電話で営業担当者を通じて取引をしたり、営業担当者が自宅を訪問することもありました。

その後、インターネットの普及により、ネット銀行やネット証券が誕生し、現金化などの一部を除いてネットの中だけでサービスが完結できるようになりました。それは、金融サービスにとって大きな出来事でした。

しかし、銀行サービスの変化はネットの中だけではありません。

今では当然のように、コンビニのカウンターで公共料金の支払いが出来ますし、コンビニにはATM装置が設置されています。そのおかげで、銀行の窓口に出向かなくても銀行サービスを利用することができます。

これらは、金融サービスを提供するPlace(流通チャネル)が、銀行や証券会社の店舗の窓口から、「ネット」や「コンビニ」に拡大された事例になりますが、利用者にとっては「場所」の制約だけではなく、「時間」の制約からも解放された意味は大きいと言えます。


続いて、「お米」について。

以前、お米には、「計画流通米」と「計画外流通米」がありました。 そして、「計画流通米」は、政府が買い上げる「政府米」と、それ以外の「自主流通米」に分かれていました。

その「政府米」は倉庫に備蓄される一方で、流通業者から「お米屋さん」や「スーパー」を通じて消費者に販売されるものもありました。そして、備蓄米は、一年間倉庫に保管された後、古米として「スーパー」や「お米屋さん」で販売されました。

また、「自主流通米」は、「自主流通米価格形成センター」において、その年の売価の目安が決められた上で流通業者によって集められ、「お米屋さん」や「スーパー」で販売されました。

一方、「計画外流通米」として、農家が直接、消費者にお米を販売することもできました。 これらのお米には、ブランド米として有名なものが多くあります。しかし、当時、その「計画外流通米」は、「スーパー」や「お米屋さん」で販売することはできませんでした。

いわゆる、ダイレクトマーケティング(One to One マーケティング)での販売しか許されていなかったのです。

その後、「計画外流通米」はスーパーやお米屋さんで販売することが可能となり、条件によっては登録制で自由にお米を販売できるようになりました。また、「計画流通米」もJAや農家が自由に販売先を決められるようになりました。

その流通の自由化が、お米を作る農家の「やる気」となり、より美味しいお米の生産に繋がったことは容易に想像できます。

日本人にとって、誰もが馴染みのある「お米」ですが、その流通チャネルの変化について詳しく知っている人は案外少ないかもしれません。しかし、その変遷を眺めることは、規制とPlace(流通チャネル)との関わりを考える上で良い教材になるのではないでしょうか。

このように、「金融サービス」と「お米」という全く違う商品について考えてみましたが、4PのうちのPlace(流通チャネル)の変化が、ビジネスに大きな影響を与えたことは間違いありません。