MECE(ミーシー)|マーケティング用語

MECEとは、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive の略で、英単語からは「モレなく、ダブりなく」という意味になりますが、各層でのレベル感を合わせることなども含んだクリティカルシンキング(ロジカルシンキング)の基本になる概念です。ミーシー(またはミッシー)と発音されます。

◆Mutually   ・・・ 相互に、互いに
◆Exclusive  ・・・ 排他的な、分け合わない、共有しない、独占する
◆Collectively ・・・ まとめて、集合的に、ひとまとめに
◆Exhaustive  ・・・ 徹底的な、余すところのない、網羅的な

英語を直訳すると「ダブりなく、モレなく」が正しいのですが、日本語では語呂が良いのか「モレなく、ダブりなく」と教わることが多いです。

また、MECEを数学の「集合」と「補集合」の関係で説明する場面を目にしますが、MECEの利用シーンを考えると少し違和感を覚えるところもあります。

例えば、外食時に「どのレストランで食べようかな?」と考える場面を想像してみてください。食べ物の好みは人によって千差万別です。しかし、「和食」と「和食以外」のどちらにしようかと考え始める人はあまり多くはないでしょう。

「和食」と「和食以外」

しかし、これは「集合」と「補集合」という観点では、何も問題(間違い)はありません。しかし、「和食」と「和食以外」にレストランを分解することに現実的にはあまり意味はなく、「和食」「洋食」「中華料理」「その他」くらいの分類がなければ、話が先に進みません。

また、課題をブレークダウンしていく際に、各層におけるレベル感の統一も大切です。

下の図では、第一層でレストランを「和食」「洋食」「中華料理」「その他」に分類しています。そして、第二層では、食べ物のカテゴリーを記載していますが、「中華料理」の下だけは「天津飯」や「五目焼きそば」という「料理名」になっています。

外食で何を食べようか?

「その他」があるので「モレなくダブりなく」ではありますが、この状態ではMECEだとは言えません。中華料理も「ご飯もの」や「麺類」とするべきでしょう。

最後に、「その他」が必要かどうかもよく考えてください。 年齢を、10歳未満/11歳以上~20歳未満/21歳以上~30歳未満/31歳以上~40歳未満/41歳以上~50歳未満/51歳以上~60歳未満/60歳以上 と分類すれば「その他」は必要ありません。このように、「その他」が不要な場合もあれば、「その他」があることによってMECEが成立する場合もあります。

(まとめ)
MECEとは、単に「モレなくダブりなく」であるだけでなく、
1.対象を適切な分類数に分割している(分割するサイズが適切)
2.各層におけるレベル感が統一されている
ということを含めた概念であることを心に留めておきましょう。