NFT・非代替性トークン|DX(デジタルトランスフォーメーション)の用語

紙の資料をコピー機で複写すると、黒ずんだり、粗くなったりして、どんどんとオリジナルの資料からかけ離れていきます。

一方、デジタルの世界を構成する「電子データ」は、複製によって劣化しません。電子書籍、電子音源、電子アートなど、あらゆる電子データは、オリジナルと同じクオリティのままコピー(複製品)を永遠に作り続けることができます。

このオリジナルと全く同じものを複製できる電子データの特徴は、デジタル世界の強みのように見えますが、逆に、それがデジタルの弱みでもあります。現実の世界では、「世界に一つしかない絵画」が価値を持ちますが、デジタル化された電子データの絵画には「世界で唯一」の価値がないからです。

しかし、そのデジタルの世界で、「世界で唯一」を証明する技術が NFT です。

NFTとは、”Non-Fungible Token”(ノン・ファンジャブル・トークン)の略で、日本語では「非代替性トークン」などと言われます。

Fungibleという単語は、「代替できる」という意味です。例えば、「同じ種類の同じ重さの貴金属は、fungible(取り換えることができる、交換可能)」というように、貴金属の取引で使われるようです。逆に、Non-Fungible とは、「代替できない」という意味になります。(ちなみに、この fungible という単語は、ラテン語の「真菌」の機能に関する言葉が語源だそうです。)

また、Token(トークン)は、IT の世界ではよく登場する言葉ですが、所有を証明するための電子の鍵(英数字の組み合わせで出来た文字列など)のことを意味します。

つまり、NFT とは、その電子データがオリジナル(唯一無二の存在)であることを証明するための仕組みです。

その基盤となっているのは、ブロックチェーンの技術です。ブロックチェーンは、仮想通貨や暗号資産などを支えている技術で、多くのコンピューターにデータを分散して保有することで、データの改ざんを防いでいます。

この ブロックチェーンに支えられた "NFT" の仕組みを用いることで、電子データであっても絵画などの「オリジナル」を証明することができるため、現実世界と同じように商取引が可能となります。