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2021.12.23

「大事は理、小事は情をもって処す」の、大事と小事の線引きはどうするの?

アヒル

「大事は理、小事は情をもって処す」と言います。「理」は論理、「情」は感情や思いやりです。

小さな事は、「情」(感情や思いやり)を優先して物事を判断・決断しても良いけれども、大きな事は「理」をもって論理的に考えて判断しなければならない。つまり、大きな事を判断する場合は、情に流されてはいけない、という意味合いで捉えることが一般的だと思います。経営者やリーダーが孤独だと言われるのは、大きな事は「情」を捨てて判断しなければならないからでしょう。

ただし、この言葉には、大きな事は論理的に考える必要があるけれども、小さな事は時間をかけずに「情」で即決するほうが良い、という意味合いもあります。判断の対象になる99%の事柄は「小さな事」なので、そのほうがスピードが上がって効率が良く生産性が高くなるという意味です。仮に、判断が間違ったとしても、小さな事なので影響も少ないはずです。完璧主義は、よくないというわけです。

さて、そこまではわかったとして、その「大事」と「小事」の線引きは、どうすれば良いのでしょうか?

企業経営で言えば、企業の存続に関わるような決断は、もちろん「大事」です。逆に、売上や利益の1%に満たないような話は「小事」でしょう。このように、企業では、売上や利益という数字へのインパクトで「大事」と「小事」を区別することが多いです。それでは、売上や利益への影響が、5%や10%だったらどうなのでしょうか? それは、その企業の置かれた状況によって、企業自身で判断するしかないでしょう。

ただし、もっと、他の視点で「大事」と「小事」を区分することを忘れてはいけません。

その視点とは、人の命や健康に関わるかどうか、人権に関わるかどうか、という視点です。命や健康はお金では買えません。また、人間が人間らしく生きていくための権利は日本国憲法で保障された権利です。それをないがしろにして、経営の数字だけに執着していては、本当に良い経営とは言えないかもしれません。