Googleでの検索のことを「クエリ」と言いますが、そのクエリの意図には4つの種類があります。Goクエリ、Doクエリ、Knowクエリ、Buyクエリと呼ばれるものです。
Goクエリ は、特定のサイトに移動するためのクエリで、企業名やサイト名などを「名指し」で検索するものです。例えば、Googleの検索画面で、「かんでんCSフォーラム」と社名を入れて当社のホームページを訪問する場合などです。
Doクエリとは、最終的にアクション・行動に結びつくものです。「働くために求人情報を検索する」「目的地までの乗り換え方法を検索する」などです。
その Doクエリ の中でも、何かを購入するためのものが Buyクエリ です。「洋服が欲しい」「日用品が欲しい」「ケーキが食べたい」などの欲求(ウォンツ)を満たすために、あるいは「水道管が壊れた」「歯が痛い」「子供の成績を上げたい」などの問題・課題(ニーズ)に対するソリューション(解決策)を得るために、人はお金を支払います。
そのような消費行動に繋がる検索が Buyクエリ です。そして、企業がSEO対策をしたり、コンテンツマーケティングに尽力する究極の目的は、このBuyクエリに対して自社のサイトを上位表示させて購買に繋げることなのかもしれません。ですから、Buyクエリ 以外の Doクエリ や、ましてや Knowクエリ なんて、本音を言えば企業にとってはどうでも良いはずです。
一方の Knowクエリ には、「言葉の意味を知りたい」「有名人の名前を聞いて顔を知りたい」という単純な知識欲を満たすためのものもありますが、それ以外に、「シミ・ソバカスを隠す方法」「便秘を直す方法」「目の疲れを取る方法」のような個人的な悩み事の解決策や、あるいは、「売上を伸ばす方法」「テレワークを推進する方法」などのビジネスに関わることなど、対象となるものは幅広く存在します。
さて、Buyクエリ と Knowクエリ について深掘りする前に、Goクエリ―について一言。Goクエリ―(社名や商品名などの名指し検索)を生み出すためには、ネット以外のものを含めて、いろいろな宣伝活動や広報活動が必要です。
テレビ・新聞・雑誌などの媒体や口コミなどによって、消費者に社名や商品名を知っていただけたからこそ、Goクエリ に繋がるはずです。そのように、Goクエリ では、デジタルマーケティング以外の要素が多くなるので、Goクエリ についてはここでは触れないでおきます。
さて、Buyクエリ と Knowクエリ の話に戻ります。
先ほども述べましたが、企業の本音としては、自社の商品・サービスの購入に繋げるためにマーケティング活動を続けているわけですから、「Buyクエリ で自社サイトを訪問してもらって購買に繋げる」のが最短ルートで理想的なのかもしれません。
しかし、なかなか そう うまくはいきません。何故なら、競合他社も同じように考えているので、検索上位に表示させること自体が難しいからです。そこで、オーガニックな検索結果の上位表示を断念して、グーグル広告に出稿するという選択肢もあります。
ただし、Buyクエリ への対応にしても、あるいは、グーグル広告への出稿にしても、どうしても商品・サービスの訴求がメインになりますので、「宣伝色」が強くなります。もちろん、宣伝しているのだから、当然なのですが・・・。
一方で、Knowクエリ は、そもそも購買行動とは距離がありますし、Knowクエリ に対して上位表示される検索結果はその回答や解決策になりますので、商品・サービスの宣伝色は弱まります。実は、そこにこそ、消費者の共感を得る可能性が秘められています。
例えば、観光旅行で京都の錦市場を訪れて、お漬物屋さんの前にやってきたとします。そして、「うまいよ!うまいよ!」「安いよ!安いよ!」と声を掛けられたら、ちょっと覗いてみようかな、ちょっと食べてみようかなと思うかもしれません。
それは、旅行で京都を訪れた高揚感や、錦市場の独特の雰囲気、そして、「もう二度と来ないかもしれない」という希少価値などが、あなたの心を動かすからです。
しかし、ネット検索(Goクエリ)で「京都 漬物」と検索した結果、いろんなお漬物の商品名や写真が並んだとしても、大きく心が動くことはないでしょう。もし、「おっ」と思うことがあるとしたら、ネット検索の結果に、京都の錦市場で試食したお漬物が出てきたときくらいではないでしょうか。
やはり、リアルな世界とネット上の世界は違います。だからこそ、リアルな世界での「うまいよ!安いよ!」に魅かれることがあっても、ネット上の「うまいよ!安いよ!」では消費者の心に響くことはないでしょうし、商品・サービスを詳しく説明すればするほどに、宣伝色が強まっていきます。
そして、余程、緊急性がない限り、「もう少し調べてから・・・」「次の機会に・・・」となって、購買へと繋がらないかもしれません。
逆に、Knowクエリ に対する回答となるサイト(ページ)は、宣伝色の薄いものになるでしょうし、場合によっては人の心を動かすことも可能です。
例えば、「京都 歴史 面白話」と検索した結果を辿っていくと、京都のちょっとした歴史上のエピソードが表示されたとします。そこに、学校では習わなかったけれど、人に教えたくなるほどのインパクトのある歴史話が書かれていたとしたら、きっとワクワクするでしょう。
そして、そのページの最後に、「その時代から京都で受け継がれてきた京漬物」と書かれていたら、ちょっと気持ちが動くのではないでしょうか。
話は変わりますが、人は自分のことを理解してくれる相手には心を許すものです。悩み事や困りごとがあって、ネットで解決策を探しているときに、自分と同じ悩みを持つ人がいたら、「そう、そう。そうなんだよ!」と共感して親近感を抱くことでしょう。
それだけに、Knowクエリ の先には、人の心が動く要素が存在するわけで、そこから自社の商品・サービスへと繋げていくほうが、Buyクエリ に対して「うまいよ!安いよ!」と必死に訴えかけるよりも効果があるかもしれません。(もちろん、ないかもしれません!)
ただし、Knowクエリ から貴社のビジネスに繋げるためには、貴社のターゲット(顧客)となりそうな人達が、どのようなことに興味があるのか、あるいはどのようなことを考えたり悩んだり困ったりしているのかを想像すること(仮説を立てること)や、実際に調査をして確かめてみることが大切です。
それを忘れてしまっては、決して良い結果に繋がることはないでしょう。