グループインタビューとモデレーター|マーケティングリサーチ用語

グループインタビューとは、インタビュールームに集合してもらった5~6人の調査対象者にテーブルを囲んでもらい1~2時間程度のインタビューを実施する定性調査です。

調査の目的や内容によってグループ数は変わりますが、グループでの意見の違いを明らかにするために属性などの異なる複数のグループ(5名×3グループなど)で調査を実施することが一般的です。

また、グループインタビューの依頼者は、グループインタビューの状況をインタビュールームの隣の部屋からマジックミラー越しやテレビカメラの映像などでリアルタイムに眺めていることもありますし、後日、ビデオで確認することもあります。

そして、何と言っても、グループインタビューに欠かせないのがモデレーターです。

モデレーターとはグループインタビューの司会進行役であり、また、グループインタビューの参加者へのインタビューアーであり、参加者の発言を促しながらも参加者の発言のバランスをとる(特定の人が多く喋りすぎないようにする)調整役でもあります。

司会者ではなく、わざわざモデレーターと呼ぶのは、そのようないろいろな役割を担っているからだと言えます。もちろん、モデレーターの最大の役割は、「依頼者の目的に沿って参加者から発言を引き出すこと」です。そのためには、依頼者の業界やサービス・商品内容について精通し、依頼者の意図を的確に汲み取る必要がありますし、参加者の深層心理に踏み込み発言を引き出す高度なコミュニケーション能力を備えている必要があります。

そのため、モデレーターの良し悪しがグループインタビューの成否に直結します。

ちなみに、形容詞のモデレート(moderate)は「節度のある」「穏健な」という意味合いで、動詞のモデレート(moderate)は「節制する」「やわらげる」という意味です。そこから「調停役を務める」「議長を務める」という意味に転じたと考えられます。

グループインタビューのメリットは、他の参加者の発言を聞いて、「そう言えば、自分もそうだ」とか「自分もこんなことがあった」などと参加者同士の刺激で記憶が掘り起こされることです。ただし、特定の人の意見に引っ張られすぎないようにうまくバランスを取ることは、モデレーターの大切な役目です。

尚、他人に聞かれたくない事柄(病気など)に関する調査は、グループインタビューではなく個別インタビュー(デプスインタビュー)を活用すべきであることを付け加えておきます。

最後に一言ですが、あくまでも、グループインタビューは定性調査であり、グループインタビューで出された意見はその調査の参加者に固有のものかもしれません。そのために、グループインタビューで得られた意見やアイデアをいきなり採用するような意思決定をするのではなく、グループインタビューの結果を参考に設計した「定量調査」を実施した上で最終的な意思決定に臨む必要があります。