ザイアンスの法則(単純接触効果)|コールセンターの心理学

人間は、仲間だと思う人には心を開きますし、仲間だと思わない人には心を閉ざします。 逆の言い方をすれば、心を開く相手を「仲間」と呼びます。

ヒトが相手のことを仲間かどうか選別する性質は、人間が集団で生きていくために必要な生まれ持ったものかもしれません。ただし、「仲間」とは「親友」という深いレベルではなくて、「敵か味方か」の「味方」(こちら側)であるという無意識の線引きのレベルの話です。

人間は臆病で慎重だからこそ、危険なことを回避して生き延びることができます。例えば、初めて見たキノコを何の疑いもなく食べてしまったら毒キノコで死んでしまうかもしれません。だから、初めて見たものに対しては注意深く接するのが人間の生まれ持った性質です。

そうして、新しいものに対して慎重に臆病に接することで生き延びてきた人類の子孫が今の私たちですから、そのDNAには臆病で慎重であることが刻み込まれているはずです。

それは、「対ヒト」についても同様です。 初めて会った人を仲間だと認識するまでには、何らかのプロセスが必要です。 そのプロセスの1つを説明するものが「ザイアンスの法則」です。

人は、知らない人に対して何らかの警戒心を抱きます。しかし、接触回数が増えるほどに親しみを感じるというのが、ザイアンスの法則です。ちなみに、ザイアンスとはアメリカの心理学者の名前です。

そして、ザイアンスの法則(単純接触効果)は「対ヒト」だけでなく、さまざまなものにも当てはまります。「場所」や「モノ」など、初めてのものには緊張しますが、回数を重ねることで心が落ち着いてホームグラウンド化します。

その性質を利用したものがテレビやネットの広告です。 テレビの15秒CMやネットのバナー広告では、その商品やサービスの詳細まではわかりません。でも、企業は大量に広告を出稿します。それは、マーケティング的に言うと、「認知度」を上げる行為です。もちろん、マーケティング的には認知度を上げて会社や商品・サービスを知ってもらうことも大切なのですが、それ以上に「何回も見たことがある、聞いたことがある」ということによる親しみ・親近感の醸成が大切なのです。

ただし、注意が必要なのは、接触回数を増やすことで「好意」が生まれるわけではないということです。例えば、あなたの職場を想像してみてください。「あなたの嫌いな身だしなみの人」や「失礼な態度の人」が頻繁に接してきたからと言って、その相手に好意をいただくことはありません。

また、自宅にセールスの電話が頻繁に架かってくれば、好意を抱くどころか、嫌悪感が増幅します。

つまり、接触回数を増やすことは、あくまでも「警戒心がなくなる」だけであって、相手に信頼されたり好意を抱かれるためには、接触回数以外の何らか努力が必要だということを忘れてはいけません。