多言語な世界|コールセンターの可能性

コールセンターは、どんな可能性を秘めているのでしょうか? そして、未来はどんなコールセンターを必要としているのでしょうか? 急速にデジタル化&リモート化が進み、多様な業種・職種が姿を変える社会では、どのような未来がやって来て、そのときコールセンターにはどのような役割が求められるのかを予想するコラム。第7回のテーマは「多言語な世界」です。

多言語の看板

これまでの日本では、日本語で誰とでも意思疎通することができました。度々、政治家の「単一民族」発言が物議を醸すことがありますが、それでも、現代の日本が「他民族国家」と呼ばれる状態でないことは確かですし、日本で日常的に使用される言語が日本語であることは間違いありません。

さて、今後、日本の人口が減少するのは明らかです。このまま何もしなければ日本の生産人口は確実に減少していきます。そのために、女性や高齢者などを労働市場に招き入れようと「女性活躍」や「一億総活躍」というスローガンが生まれました。さらに、製造業にロボットが導入されたように、事務職の一部がRPAに置き換わり、AIが人の創造力を補って、元々低い日本の生産性を高めようという気運が高まっています。

しかし、それでも、未来の日本で労働力が不足する可能性は高いままです。 そこで、想定される選択肢の1つは、移民や、さらなる外国人労働者の受け入れです。

ただし、その未来の日本が、外国人にとって魅力的な移民先・出稼ぎ先である保証はありません。日本の経済力が低下して、東南アジアの経済力が向上していくことは間違いないからです。あまり魅力的な条件でなくても、日本の工場や農場などにアジアの人々が実習生としてやってきてくれる時代は、いずれ終わります。

そんな未来の日本がどうなっているのかを予想することは難しいですが、現代の日本で見かける外国人(中国人やベトナム人など)とは全然違う国から、いずれ労働者がやってくる日が来るかもしれませんし、労働者の国籍がもっと多様化するかもしれません。

そして、「日本に来るなら、日本語の勉強をするのは当たり前」という大前提は崩れます。「日本語が話せなくても良いから、どうか、日本に来て働いてください」と外国人労働者にお願いをする日がやってきます。

しかし、そのような時代に向けて、工場や農家が多様な言語を操れる人材を育成することは難しいでしょう。また、外国人労働者が生活する場面、例えば、役所の各種申請や、生活用品・食料品を調達するあらゆる場面で、多言語を理解し話せる人材を確保することも無理です。労働力が不足する時代に、多言語を話せる優秀な人材がローカルな職場に留まっているはずはないからです。

このように外国人労働者の国籍が多様化するものの、対応する側が多様な外国語を操る人材を確保できない局面を打開するための解決方法(ソリューション)は存在するのでしょうか?

その解決方法として、「分散型」と「集中型」の2つのパターンが考えられます。

まず、「分散型」のソリューションは、携帯型の自動翻訳機の活用です。自動翻訳の専用機なのか、スマホアプリなのかはわかりませんが、労働者本人、あるいは応対する側(役所、店舗など)が自動翻訳機を持っておくという方法です。これで、ある程度の問題は解決できるかもしれませんが、自動翻訳機にも壁があるはずです。専門用語や方言、訛り、間違った文法などにどこまで対応できるかは未知数ですし、いくら技術が進歩しても解決できない領域は残ることでしょう。

もう1つの解決方法、つまり、「集中型」のソリューションはコールセンターの活用です。 外国語の話せるコールセンタースタッフが、外国人労働者と対応者(役所や店舗スタッフなど)の間に入って通訳をするモデルです。ただし、24時間365日の対応であったり、対応言語を増やすことはコールセンター運営のコスト増に繋がります。

つまり、この2つの解決方法には、それぞれの長所・短所があります。 そのために、お互いを補完しながら棲み分けがなされるのではないでしょうか。

そして、究極のソリューションとして、手元の「自動翻訳機」と、いざという時の「多言語コールセンター」をシームレスに連動させたサービスの提供により、多様化する外国人労働者が日本で安心して暮らせる未来がやってくるのではないでしょうか。

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