コンタクトセンターは顧客対応デジタル化とマルチチャネル化の最前線

● コンタクトセンターとは

「コールセンター」と言う言葉を聞いたことがあっても、「コンタクトセンター」という言葉を聞いたことがない人は、たくさんいらっしゃると思います。

コールセンターは電話での顧客対応の部門や場所を指しますが、コンタクトセンターとは電話以外の手段、例えば、電子メール/お問合せフォーム/チャット/スマホアプリなどでのやりとりも含めた総合的な顧客対応の部門や場所のことを言います。

そのコンタクトセンターは、2つの意味で、コールセンターから進化した顧客対応の部門・場所であると考えられます。

その進化の1つの方向は、顧客対応のデジタル化です。世の中、あらゆる方面で「デジタル化」が急がれていますが、デジタル化の目指すところは「生産性の向上」です。顧客対応の現場においても生産性の向上を追求するのであれば、デジタル化は避けては通れません。

そして、顧客対応のもう1つの進化の方向性は、顧客対応のマルチチャネル化、つまり、顧客との接点(コンタクト方法)の多様化です。人々の好みや行動が多様化する世の中で、顧客対応も世の中の変化に対応するために進化する必要があります。

テレビがネットの動画配信(Youtube、Netflix、amazon prime videoなど)に置き換わっていくのと並行して、今後、顧客対応の窓口も「電話」から「メールやチャット」などへとさらにシフトしていくと予想されます。これは、「顧客対応のデジタル化」であり、かつ「顧客対応のマルチチャネル化」と呼ぶに相応しい現象です。

その顧客対応のデジタル化やマルチチャネル化によって、企業と顧客の双方にとって、どのようなメリットがあるのかを具体的に見ていきましょう。



● コンタクトセンター化の顧客にとってのメリットとは?

まずは、あなた自身も企業に所属する従業員という立場を忘れて、一人の消費者として考えてみてください。

かつて、企業への問い合わせの主な手段と言えば、「電話」「FAX」「ハガキ」などでした。その中でも中心的な役割を担う「電話」には、「リアルタイム性」と「双方向性」という大きなメリットがあります。しかし、その大きなメリットを享受できない人々がいるのも事実です。

例えば、障害があって言葉が話せない人や、あまり他人と話をするのが得意ではない人などです。日本語を話せない外国人も同様です。

また、通常であれば電話でのやりとりを好む人であっても、場面や状況によって、他の手段(メールやチャット)のほうが望ましい場合があります。

例えば、人混みの中では電話でのやりとりは不自由(周囲がうるさくて電話の声が聞こえない)ですし、在来線の電車の中で電話を架けるのはマナー違反です。風邪をひいて喉が痛いこともあれば、仕事の都合などで平日の昼間に電話をする時間がない場合もあります。

そのような状況にある人であっても、メールやチャットでならば、企業に問い合わせをすることが可能です。

あるいは、電話でのやりとりが可能な場面であっても、その内容が電話よりも文字/テキストベースのほうが便利な場合があります。

例えば、「会員ID」や「メールアドレス」を伝える、長い数字を伝える、目的地への行き方を伝えるなどです。

つまり、「電話を使えない人」「電話を使いたくない人」「電話を使えない状況の人」「電話よりも文字・テキストほうが便利な内容の人」にとって、メールやチャットは電話よりも優れたコミュニケーションツールであるわけです。

何よりも、「お繋ぎしていますので、しばらくお待ちください・・・」というトーキーを聞きながら、電話オペ―レーターを待ちわびる長い時間から解放されることが顧客にとっての最大のメリットかもしれません。

そして、そのような利便性の向上によって、顧客の満足度が向上することは間違いありません。



● コンタクトセンター化の企業にとってのメリットとは?

顧客の満足度が向上したからと言って、企業にとって必ずしもプラスであるとは限りません。例えば、顧客満足度が向上して企業の売上が2倍になったとしても、そのコストが10倍かかるとしたら、どうでしょう? それは、企業にとって選択するべき施策ではないでしょう。

しかし、コールセンターのマルチチャネル化やデジタル化、つまりコンタクトセンター化は企業にとっても、いくつものメリットがあります。

まず、顧客とのコンタクト方法を多様化することで、機会損失を防ぐことができます。例えば、通販の受注であれば、電話以外からの注文を逃さずに済みます。

また、顧客対応のピークを分散して平準化することができます。

例えば、1日24時間のうちの特定の時間に問い合わせが集中したとします。電話での顧客対応では、そのピークにあわせて人員を配置しなければなりませんし、そのためには席数も必要ですし、人数分の教育も必要です。電話の「リアルタイム性」と「双方向性」が、そんな場合には企業にとってデメリットとなるわけです。

しかし、メールやチャットでの問い合わせであれば、対応を分散化して平準化することができますし、電話での対応に比べて一人のオペレーターが対応できる顧客数も多くなりますので、顧客対応の生産性が向上します。

加えて、コールセンターの人手不足の問題にも効果があります。コールセンターでは、従業員の確保に苦労することが多いものですが、「電話が苦手」という働き手が多いことがその理由の1つです。クレームを伝えるために「大声で怒鳴るお客さま」を想像する人もいるのでしょう。延々と苦情を言うお客さまを相手にこちらから電話を切るわけにもいかずトイレを我慢し続ける場面を想像する人もいるのでしょう。

しかし、そのように電話での顧客対応は嫌だけれども、メールやチャットの対応であれば平気だという人達がたくさんいます。

そして、コロナ禍の影響で一気に普及したテレワーク(在宅化)に向いているのが、メールやチャットによる顧客対応です。自宅に小さな子供がいれば、いつ子供が近寄ってくるかわかりませんし、泣き出すかもしれませんので、電話での顧客対応は難しいでしょう。しかし、メールやチャットでの顧客対応であれば、そのような心配は必要ありません。



● 今後、顧客窓口のコンタクトセンター化は進みます

このように、顧客対応の「マルチチャネル化」による顧客満足度の向上と、顧客対応の「デジタル化」による生産性の向上を実現し、かつ、顧客にとっても企業にとってもいろんなメリットのあるコンタクトセンターの重要性はますます高まっていくことでしょう。

そして、いましばらくは ゆっくりとデジタル化&マルチチャネル化にシフトしながら、いつか閾値を超えた瞬間に、一気に「コンタクトセンター」という言葉が一般化することが予想されます。ただし、コンタクトセンターの1つの手段として「電話」が残り続けることも間違いなさそうです。

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