コールセンター事業者のシンプルな選び方

数多くのコールセンター運営事業者の中から、貴社に最適な事業者(外注・委託先)を選び出すことは、とても大変で難しい仕事です。
実際、「自分の選んだコールセンター事業者が、最適な事業者だ」 と自信を持って言える担当者が、世の中に、どれほどいるでしょうか。

そんな、難易度が高そうなコールセンター事業者の選定について、 多くの人にとって 身近で イメージしやすい 「車選び」 と比較しながら、 話を進めてみたいと思います。

もちろん、「コールセンター」 と 「自動車」 は、根本的に違うものです。
なので、全く同じわけにはいきませんが、話をわかりやすくするために、敢えて両者を比較してみます。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

● 「車選び」 と 「コールセンター事業者選び」 の比較

仮に、あなたが 新たに車を買うとします。 もちろん、以前から、意中の憧れの車を買うこともあるでしょう。
しかし、今は、「まっさらな状態」 から 車を選ぶことを 想像してみてください。

あなたが、車を選ぶ 初期段階では、いきなり、メーカーと車種 (例えば、トヨタのプリウスや、日産のノートなど) を選ぶのではなく、意識的なのか無意識なのかは別にして、どのような 「車の使い方」 をするのかを想定しているはずです。

それは、あなたが車を買う 「動機」、あるいは 「ニーズ」 と言っても良いでしょう。

その 「車の使い方」 とは、例えば、商用利用であれば、「人が乗る」 だけなのか、それとも、「荷物も運ぶ」 のか。
そして、荷物を運ぶのなら 「どんな荷物」 なのか。

また、プライベート用なら、「街中で乗る」 のか、「郊外用」 なのか。 また、「一人で乗る」 のか、「頻繁に家族も乗せる」 のか。
そして、主な利用目的は、「通勤」 なのか、それとも 「ドライブ」 なのか、などです。

そういう想定を基に、あなたの 車選び が 進んでいくはずです。

そして、その結果、特定の車のカテゴリー (バン、ミニバン、ワンボックス、セダン、SUVなど) や、 いくつかの車種に候補が絞り込まれていくことでしょう。 例えば、家族とお出掛けするなら 「ワンボックス」 だとか、特に山や海が好きなら 「SUV」 など。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

このように、車選びの場合には、購買者の頭の中で 「車の使い方」 を想定することにより、「カテゴリーや車種」 が思い浮かび、最終決定のステップへと繋がっていきます。

そうやって、候補となる車種を容易に想起できるのは、「自動車メーカーの宣伝活動」 と 「日常生活の中で多様な車種を目にしていること」 に起因しているのでしょう。

● コールセンター事業者の選定では?

それでは、コールセンター事業者の選定については、どうでしょうか?
コールセンター事業者の選定においても、当初から、貴社での 「コールセンターに期待する役割」 は想定されているはずです。

その役割とは、「受信」 (インバウンド、問い合わせ対応) がメインだとか、 あるいは、「発信」 (アウトバウンド、テレマーケティング、営業電話) を強化したい・・・などです。

それが、貴社が コールセンター事業者を 活用する 「動機」 「ニーズ」 です。

しかし、コールセンター事業者の選定では、(車選びに比べて圧倒的に情報が不足しているため) 貴社の期待する役割に対して 「最適なコールセンター事業者 (候補) 」 を思い浮かべること (想起) ができません。 これは、多くのB to B事業で起こることです。

例えば、あなたが、「アウトバウンド」 のコールセンター事業者を探す立場だとします。

ネットで検索すれば、「アウトバウンド専門」 「アウトバウンドの実績豊富」 などのキャッチコピーを冠したコールセンター事業者が数多くヒットします。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

そこで、あなたは思うはずです。

「結局、本当に アウトバウンドに 強い コールセンター事業者は どこなのだろうか?」
「アウトバウンドの 実績が 豊富だと 言われても、どこまで 信用して 良いのだろうか?」
「アウトバウンド専門の 小さな会社 よりも、サービスを全般的に 提供している 大手事業者 のほうが、無難なのではないか?」
「ネット検索では 探しきれない、アウトバンド業務を 得意とする 事業者が 他にも 存在する のではないか?」

と。

そして、残念ながら、それには、絶対的な答えはありません。ですので、その解決方法については、後ほど触れようと思います。

● 先進性だけでは、「車」 も 「コールセンター」 も選ばれない!

少し 話が 横道に 逸れます。

新発売。 新商品。 新機能。 新装開店。 そして、イノベーション。 新しいものは、人をワクワクさせます。

車だと、「バックビューモニター」 (駐車時に、後部カメラで車の背後の景色を運転席のモニターに映し出す機能) や、 「自動ブレーキ機能」、それに、「自動運転」 など。 数多くの先進機能を、各自動車メーカーが競って宣伝しています。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

そんな自動車メーカーが注力する 「先進機能を訴求する広告」 を見るにつけ、 「近頃は、そんなことも、できるのかぁ。すごいなぁ。」 と素直に感心してしまいます。

しかし、あなたは、その先進機能だけで 「車のメーカー」 や 「車種」 を選ぶでしょうか?
おそらく、そんなことはしないはずです。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

車を選ぶときには、やはり、「エンジンの良さ」 (加速の良さ、音の静かさ、耐久性など) や、 「ブレーキの安全性」 「エアバッグの性能」 「車内空間の広さ」 などの基本性能に納得し、 かつ、 車の色やデザインなどにも 魅力を感じた上での プラスアルファ (おまけ的な要素) として 「先進機能」 を眺めているのではないでしょうか。

そして、それは、コールセンターでも 同じことだと 思うのです。

「チャット機能」 や、「AIを利用したサービス」 など、先進的なものには注目が集まります。
しかし、その前に、コールセンターの運営で大切なことは、コールセンター運営の 「安定性」 や 「安全性」 なのです。

● コールセンター運営の 「安定性」 と 「安全性」 とは?

まず、コールセンターの 「安定性」 とは、どういう意味でしょうか。
それは、コールセンターを 継続的に 絶え間なく 運営する能力 のことです。つまり、車の 「エンジン」 の役割です。

突然、砂漠の真ん中で止まってしまうような車の 「エンジン」 では人の命に関わります。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

同様に、コールセンターを安定して運営できなければ、貴社の 「売上」 や、「顧客満足度」 に大きな影響を与えることでしょう。

それを避けるには、安定性のあるコールセンター事業者を選ぶ必要があります。 そのためにも、その事業者が 「人材採用」 や 「人材教育」 の体制をどれだけ体系的に整えているかに注目すべきです。

そして、その事業者の 「財務力」 や 「認知度」 にも気をつけるべきでしょう。 なぜならば、社会的に信用の低い会社では、なかなか働き手が集まらないからです。


次に、コールセンターの 「安全性」 とは何でしょうか?
それは、リスクを 回避する 能力です。 車では、「ブレーキ」 や 「エアバッグ」 というところでしょうか。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

コールセンターでは、「執務室のセキュリティ」 (入退室管理) や 「従業員への教育」 が事故を事前に防ぐブレーキとなります。 また、「電源や通信網の冗長化」 は、事故が起こったときのエアバッグの役割を果たします。

しかし、それらの充実度合いを事前に確認する方法は限られます。

● 貴社の業務に最適なフォーメーションづくり

そして、これを言ってしまうと 「おしまい」 なのですが、他社で素晴らしい実績を残した事業者が、貴社でも素晴らしい結果を残す保証はありません。 なぜならば、他社と貴社との業務内容は全く同じではありませんし、他社と貴社を担当する人材も異なるからです。

それでは、どうやって、コールセンター事業者を 選定すれば良いのでしょうか。

それは、貴社なりに試行錯誤することです。

最初は、信用できそうな 「全国規模の大手事業者」 や 「地元で有名な中堅事業者」 などにコールセンターの構築や運営をお願いし、業務が大きくなれば、複数の事業者を併用して競わせる。 そして、成績の悪い事業者には改善を促すか、場合によっては事業者を入れ換えていく。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

時間と手間がかかりますが、これこそが 「貴社にとっての最適解」 の求め方ではないでしょうか。

ただし、アウトバウンド業務は、「成約」 が指標なのでわかりやすいですが、インバウンド業務については、各事業者の 「評価方法」 に注意が必要です。

例えば、コールあたりの 「対応時間」 が短くなったおかげで 「応答率」 が上がったとしても、「顧客満足度」 を低下させては本末転倒です。

ですから、応答率などの内部管理的な評価だけではなく、ミステリーコールCS調査 など による顧客満足度の把握 (外部的な評価) が よりよいコールセンター運営には欠かせません。

● やはり、「車」 と 「コールセンター」 は違う。

自動車メーカーは 「製造業」、コールセンター運営事業は 「サービス業」 です。

自動車メーカーは、「車を製造して販売すること」 がビジネスですので、ユーザーに人気の売れる車 (商品) を作ることが大切です。

一方、コールセンター運営事業は、『 企業の 「営業力強化」 や 「顧客満足度向上」 に貢献すること 』 がビジネスです。 そのため、販売や顧客満足度の向上に資する 「仕組みづくり」 が大切です。

その仕組みは、「業務を補助する設備や機械」 だけで成り立つわけではなく、「直接、顧客との接点を担う人材」 や 「その人材を裏で支える人材」、そして、「大きな戦略や小さな戦術を練り上げる人材」 があってこそ、成立するのです。

どうしても、最新の設備や機能に関心が向いてしまいますが、それは、自動車メーカーが 「先進的な機能」 を訴求して他社との差別化を図るのと同様に、コールセンター事業者が他社との差別化を訴求するための戦術です。 それを盲信していては、貴社に最適なコールセンター事業者は永遠に見つからないかもしれません。

サービス業には、「ESなくして、CSなし」 というよく知られた言葉があります。 それは、「従業員の満足 がなければ、顧客の満足 は有り得ない」 という意味です。

車選びとコールセンター事業者選定の比較

他の多くのサービス業と同様に、コールセンターの運営は、「ヒト」 が支えています。

だからこそ、貴社の業務を担うコールセンター事業者が、「本当に従業員を大切にする会社なのか」、そして、「従業員が安心して働ける会社なのか」 をよく確認してください。

実は、それが、コールセンター事業者を選定する際に、最も大切なことなのかもしれません。

車選びとコールセンター事業者選定の比較